key『リトルバスターズ！エクスタシー』

リトルバスターズ エクスタシー 通常版

麻枝の引退作にして、自ら”鍵的な物”の終わりを描いた作品。
空想世界も、人との繋がりも結局主人公たちを救えない。救う方法は主人公たちが強くなることだけだった…というのは、Kanonの、Airの、CLANNADの否定になっている。

戯画『この青空に約束を』

この青空に約束を- 通常版

ゼロ年代というと丸戸に触れない訳にはいかない。その丸戸史明が一番よく出ているのがこんにゃくだろう。
ゼロ年代エロゲにありがちな”田舎の、これまた限られた生活空間（つぐみ寮）”で、”主人公たちがそのささやかな幸せ溢れる空間を守り続けようとする物語”を丸戸が書いた結果生まれた良質な萌えゲー。丸戸史明の大好きな”ダメなヒロイン”も沢山取りそろえてあります。
そして、全員を攻略した後に初めてその”幸せな空間”を守れなかった後の描写が出てくるのも考えられた構成になっている。

a^ge『マブラヴ オルタネイティヴ』

マブラヴ オルタネイティヴ DVD-ROM

分割し、発売延期を繰り返し、沢山のヒロインを惨たらしいやり方で殺して見せて…
色々な物を裏切ったオルタだが、それでも”君が望む永遠と同じテーマを、別のやり方で”という方向性と、”あいとゆうきのおとぎばなし”という展開だけは最後まで貫き通した。
オルタには色々な物が詰まっている。だが、戦場描写も、SF描写も、国家意識も…それら全てが「全て主人公とヒロインに試練を与えるための要素に過ぎない」という徹底ぶりがこの作品の評価の難しさ、賛否両論に繋がっている。

Overflow『SchoolDays』

スクールデイズ パッケージリニューアル版

え、本当に刺したり刺されたり飛び降り自殺したりするの？ そこまでやるんだ…というところをとことんまでやってのけた問題作。
綺麗な純愛系修羅場も、一歩間違えばこういう流血沙汰になる、というところを敢えてやってみたその姿勢は評価に値する。
その方向性をさらに推し進めたアニメ版もよくやった。でも他の作品は安易に真似しちゃダメだよ。

Type-moon『Fate/stay night』

Fate/Stay night DVD版

これも今さら説明不要な現代風伝奇もの。様々なファンタジーを包括する”奈須きのこ世界”が分かり易く描かれていると思う。
「正義」「救うと言うこと」を描いた作品は数多くあるが、ヒロインを１人攻略するごとにその意味が変化していくルート構成も見事。

Alcot『Clover Heart's』

Clover Heart's DVD EDITION

『月陽炎』を作った人々が新ブランドを立ち上げての第１作。白兎と夷月が、玲亜と莉織と出会い、仲良くなって、恋をして、傷つけ合って、Hして、成長して、そして家族になって傷を癒していくという成長物語。個人的には『はるのあしおと』と並ぶ成長物語の傑作。二人の双子のHシーンも豊富。半脱ぎと微乳への拘りは一見の価値あり。
あと、莉織は俺の恋人。

Leaf『天使のいない12月』

天使のいない12月 DVD-ROM版

純愛でもなく、陵辱でもなく、抜きでもない、そんな内容で”奇跡””愛情を確かめる行為としてのセックス”の両者を否定してみせた怪作。
『ヒロインと出会って、仲良くなって、ヒロインの抱えている問題を解決する中で愛が生まれて、その愛を確かめるためにHする』という、古くは同級生から続いてきたエロゲの”当たり前”そのものに対するアンチテーゼになっている。
それは永遠でなく、真実でもなく、ただそこにあるだけの想い……